もともとは岡山市で暮らしていた谷口さん家族(夫・晃大さん、妻・富美花さん、娘・來叶ちゃん)。行政のサポートを活用して、実家のある山口市に戻り、両親、御祖母さまとともに四世代同居をスタートさせました。世代間で支え合いながら子育てをしています。
――岡山から山口にUターンしようとしたきっかけは?
夫が山口市に転勤になることがきっかけでした。
私も夫も山口県の出身ですので、「じゃあ私の実家に住もうよ」と。
そして、私は子供が生まれて1年後に、職場に復帰したのですが、幸いなことに夫と同じ地元に転勤できることになったので、山口市に住む私の両親・祖母と同居することにしたんです。
また、共働きだと、子供が熱を出した時などに、夫婦のどちらかが会社を休んで看病しなければなりません。
子供が治った頃に今度は私たちが体調を崩して仕事を休むといったこともありました。何よりも、共働きなので、子供に構ってあげられる時間が少ないことがかわいそうでした。
そういった子育ての面でもプラスになると考えての移住でした。
――Uターンするにあたっては何か準備はしましたか?
同居をしようにも、実家の建物が古いため、リフォームする必要がありました。ちょうどその頃、山口県の「やまぐち三世代同居・近居住宅支援事業補助金」があることを知り、これを利用して少ない費用でリフォームを行うことができました。手続きは大変だったようですが母ががんばってくれました。
そして、2016年9月に山口にUターンし、私たち夫婦と子供、両親、祖母の四世代同居がスタートしました。
山口の実家に移住し、新しい環境での四世代同居生活がスタートした。複数世代の同居では人間関係が問題になることも多いが、谷口さんの家では大丈夫なのだろうか。
――山口県に移住し、四世代同居をしてみた感想は?
やはり家族が多いと楽ですね。私たちが仕事で手が離せない時も、両親・祖母が子供の面倒を見てくれます。娘はおじいちゃん(富美花さんの父)やひいばあちゃん(富美花さんの祖母)とはあまり会ったことがなかったので心配だったのですが、すぐに慣れて、かわいがってもらっています。
また、岡山に住んでいた時は常に車に注意していましたが、今の家は周辺が田んぼで車は通らないので、子供を自由に走りまわらせています。農作業を手伝うこともあり、子供にとっていい経験ができているのではないでしょうか。
自宅の周りは何もないのですが、車で少し走れば山口市の中心部なので、児童館などの施設も整っていますし、買い物をするお店もあります。
都会過ぎず、田舎過ぎず、子育てにはいい環境だと思います。
山口市の中心部からほど近い谷口さん宅からは、車で1時間圏内にさまざまな遊び場・お出かけスポットがある。大自然の中、四季を問わずいろいろな楽しみ方ができる。都心のように渋滞の中を何時間もかけなくとも子供と思いっきり遊べるフィールドに事欠かない。
――お母さまは富美花さん夫婦・お孫さんと同居してみていかがですか?
家に孫がいるというのは楽しいですよね。朝起きて「おはよう!」と言ってくれると、「今日も1日、この重たい子を抱っこしよう!」という気になります。
孫はいろいろな年代の家族と暮らすなかで、優しく、思いやりのある子に育ってくれています。
同居をする前、三世代同居に関する講演で聞いた「複数世代同居でうまくやっていくには、真ん中の世代がポイント」という話が印象に残りました。うちの場合は私が真ん中ですから、私がキーマンと思って頑張っています。
――これからの子育ても安心ですね。
私はこの4月に、今より少し遠いお店に異動になりました。娘は入園が認められれば4月から認可保育園に行きます。
環境が変わってバタバタすることになりますが、親と一緒に生活していれば、多少のことがあっても「なんとかなる!」と考えています。
親との同居・近居で子育て世代の経済的・精神的な負担が減れば、それは結果として、子供の心身の健康にもよい効果を生む。少子化対策に悩む日本において、谷口家のようなスタイルはこれから増えていくのかもしれない。