宮崎牛、完熟マンゴー、完熟きんかんなど、宮崎県で作られる農畜水産物は、国内外で広く知られているものが多種多彩。これらの食材は「みやざきブランド」と呼ばれ、「安全・安心」「健康」「環境」などにこだわったものばかりだ。「みやざきブランド」とは宮崎県が定めた厳しい基準をクリアしたものだけが名乗ることができる宮崎県独自の商品ブランド認証制度だ。
宮崎県が、本格的に「みやざきブランド」戦略を開始したのは、今から20年以上も前の1994年(平成6)、日本中がバブル経済の余韻に浸っていた頃から、宮崎県は、全国に先駆け農畜水産物のレベルアップや産地のイメージアップ対策に行政と農家が一丸となって取り組んでいた。全国有数の残留農薬検査体制もブランド戦略の一環だ。
さらに、稼げる農業を目指して米主体の農業から畜産、園芸への生産シフトを推奨。1960年(昭和35)当時、農業産出額は全国30位だった宮崎県は徐々に順位を上げ、1995年に初めて全国トップ10入り。
その後も毎年上位に名を連ね2014年も全国5位と、今や宮崎県は「農業県」としてすっかり定着している。 「売れるものを作る」という転換を図りながら、「安全・安心」「健康」「環境」という観点から農畜水産物のブランド化にいち早く成功した宮崎県。今ではそのノウハウを学んで地方創生の起爆剤にしようと、県外から視察に訪れる人が後を絶たない。
最近は、宮崎県外の自治体でも農畜水産物のブランド化を目指してさまざまな試みが行われているが成功している例は多くない。しかし、宮崎県はいち早く農畜水産物のイノベーションを実現し、ブランド化を成し遂げた。宮崎県の生産者は「おいしくて安全・安心なものを作るだけ」というが、至高の逸品を作り出すだけの技術とたゆまない努力は、すべての生産者のお手本となるところだろう。
冬でも温暖な宮崎県は、農畜水産物の生産が盛ん。きゅうり、さといも、きんかんなどの生産量は日本一、ブロイラーの飼養羽数も全国1位。また、日照時間が長い気候を活かし、花卉の生産量も多い。スイートピー、ラナンキュラス、洋ランなどは全国有数の産地だ。
畜産が盛んな宮崎県は、豚飼育頭数が鹿児島県に続いて全国第2位で肉用牛も全国第3位。また、宮崎県の東側はほぼ太平洋に面していることもあり、漁業も盛んである。近海カツオ一本釣り漁業の漁獲量は全国第1位だ。また、本格焼酎の出荷量も宮崎県は第1位だ。